■2021年06月18日■
「第29回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」
2部門の大賞はフジパン(株)の中林 ありさ 氏と
(株)神戸屋レストランの中村 剛和 氏に決定!
カリフォルニア・レーズン協会は、2021年6月11日(金)、12日(土)の両日、「第29回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を日本パン技術研究所(東京都江戸川区)で実施し、大賞2名を含む合計11名の入賞者を決定、表彰しました。
本コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に実施、29回目の今年は、「量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門」(工場生産し、完全包装で販売する作品とベイクオフ・QBD製法で生産し販売するパン)と、「オールスクラッチ製品部門」(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパン)の計2部門で作品を募集した結果、日本全国から計124作品の応募があり、第一次書類審査で選出された21名のファイナリストが最終審査に臨みました。
ファイナリストたちは2日間に渡る計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などについてのプレゼンテーションを行いました。その後、質疑応答と試食審査が行われました。審査は製パン技術関係者6名のほか、アメリカ大使館農産物貿易事務所所長のチャンダ・バーク氏が特別審査員、カリフォルニア・レーズン協会駐日代表のジェフリー・マクニールが審査員長を務めました。
審査の結果、カリフォルニア・レーズン大賞は、量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門ではフジパン(株) 中林ありさ氏の『ぎっしりラムレーズン と ふわしゅわフロマージュ』が、オールスクラッチ製品部門では(株)神戸屋レストラン 中村剛和氏の『Splendide raisins』が受賞しました。この2名を含む11名の入賞者には、楯と、副賞としてカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」が贈られました。(研修旅行の実施時期は2022年予定)
今回の受賞作品は、これから続々と発売開始される予定です。カリフォルニア・レーズン協会は、今後もカリフォルニア・レーズンの使い方や新製品開発のアイデアを提供してまいります。
入賞者全員と審査員
● カリフォルニア・レーズン協会 駐日代表 ジェフリー・マクニールの挨拶 要約
カリフォルニア・レーズン協会を代表し、本日、「カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」へ21名の優秀なファイナリストの皆様をお迎えすることができ、大変嬉しく思っております。また、審査員の皆様には、貴重な専門知識を応募作品への評価に活かしてくださり、厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大により、本年もまた、過去29年の当コンテストの歴史において最も困難な年となりました。今回のコンテストを実現するために、最終審査中も感染予防対策のガイドラインを遵守し、また遠方からお越しいただいた方々には参加をご決断いただいたことに、協会として深く感謝申し上げます。
今年の最終選考に残った作品は、実に優れたものばかりで、日本全国から参加されたファイナリストの皆様の独創性と高い技術が反映されていると感じました。審査員の一人として、ファイナリストの皆様にはご自身の才能をぜひ誇りに思っていただきたいと、心より申し上げます。
優れた技術と素晴らしい作品を披露したファイナリストの皆様に、重ねてお祝いを申し上げます。全ての作品を試食審査することができ、光栄に存じます。皆様が、今後ますます技術を磨かれていきますことを期待しております。
● 渡邉 睦 氏の第一次審査総評 要約
一次審査は、作品のレシピのみで現物がない中、審査員の想像力と知見で判断するわけですが、やはり最初に見る写真の印象、そこでアピールするということがとても大事です。
次に、成形など作り方が具体的に書かれているかどうか、文章だけでは難しいようであれば絵や写真を入れてもいいと思いますが、ご自身の作った作品をどのように紙一枚で伝えるかというのが、非常に大事で、また難しいことだと思います。審査する我々も、そこから、どんな味がするのだろうかとか、こういう組み合わせだったら食べてみたいとか、そういった判断で選ぶわけです。今回については、あまりぶつかる意見がなくスムーズに決まり、優秀な方が多かったという印象です。
今日は作品を食べられなかったのが残念ですが、私も様々なコンテストの審査員を務めている中で、最終的には、味の評価についてのポイントが一番高いと思います。色々な方法や凝った配合で作ったとしても、最後には、味や食感で評価が分かれます。今後も皆さんは、コンテストや実際のお仕事の中で作品や商品を作られると思いますが、その中で一番大事にしていただきたいのは、味です。どんな人に食べていただくかというのを想像しながら、食べる人の顔を思い浮かべながら作っていただきたいと思います。
● 梶原 慶春 氏の最終審査総評 要約
最終審査の総評としまして、今回受賞された方々とそうでない方々に、ほとんど差はありません。一次審査の総評でも仰っていましたが、とてもスムーズに決まりました。このコンテストの審査員を務めるようになって10年近く経ちますが、今回ほど、審査員から「美味しい」という言葉を多く聞いたことはありません。どの作品も美味しかったのですが、その中でも、ほんのちょっとの差で受賞されたり、惜しくも逃されたり、ということで決まりました。
ここ数年、技術的にはもうほとんど差がありません。どの方も、本当に上手なパン作りをされますし、美味しいです。ただ、レーズンのコンテストであるということをしっかり覚えておいてほしいと思います。様々な素材との組み合わせがあり、また、レーズンの味を引き出すため漬け込みにする場合、漬け込む時間とか使用するお酒とか、そのちょっとした違いによって、レーズンの食感などに差が出てくると思います。
レーズンの機能性や保湿性を活かした作品もあれば、原点に返ったようなシンプルな作品もありました。どちらも審査員からは高評価だったと思います。味の良さだけではなく、やはり、レーズンの持つ様々な機能性、おいしさ、他の素材との相性、そういったこともしっかり表現できた作品が、今回受賞したと思います。ぜひ今後も、今回のコンテストに参加されたことを活かして、美味しいパンを日本中の皆さんに届けてください。それが私たち審査員の願いです。今日はどうもおめでとうございました。
入賞作品
(※所属企業・団体名の敬称略)
【量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞
中林 ありさ 氏(フジパン株式会社)
作品名:ぎっしりラムレーズン と ふわしゅわフロマージュ
レーズンとスフレチーズケーキを組み合わせ、洋菓子のようなパンに仕上げました。
レーズンは、チーズケーキに合うようラム酒漬けにし、よりジューシーな食感にしています。チーズケーキは、レーズンの食感を最大限に活かすため、スフレタイプにしました。デニッシュとレーズンの間のスポンジは、ラム酒漬けレーズンのうま味がたっぷり染みこみ、デニッシュのサクサク感を維持してくれています。
ふわしゅわのスフレチーズケーキ、ジューシーなラム酒漬けレーズン、ラム酒の染みたしっとりスポンジ、さっくりデニッシュの4層をお楽しみください。
【受賞者のコメント】
レーズンはチーズケーキに合うようにラム酒漬けにしていて、よりレーズンの味が出るような仕立てにしています。チーズケーキは、試作の時に、ベークドタイプ、スフレタイプ、レアチーズのようなタイプを試食して、一番レーズンの食感が活かせたスフレタイプにしました。
ラム酒漬けレーズンとデニッシュの間にスポンジケーキの生地を入れて、ラム酒漬けレーズンのラム酒をちょっと吸ってくれて、よりラム酒の香りが立つような仕立てにしました。
回数は覚えていませんが、一ヶ月くらいかけて、たくさん試作しました。上司や同僚、家族にも食べてもらって、意見をもらいました。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞
江嵜 豪 氏(株式会社J-オイルミルズ)
作品名:トロピカル・レザン・アイランド
夏に美味しく食べられるトロピカルとレーズンのコラボレーションです!
見た目は、トロピカルフルーツの代表格のマンゴーをイメージしたオレンジ色のメロン皮の割れ目から、レーズンをイメージした紫色のパン生地がのぞく島のような見た目に設計、「トロピカル・レーズンアイランド」と名付けました。
パンの中はココナツリキュールとパイナップルジュースで漬け込むことで濃厚な甘みを引き出したレーズンと、パッションフルーツ風味の白餡で、甘味と酸味のコントラストをつけました。メロン皮にはココナッツとマンゴーを使用して、パン全体から調和のとれたトロピカルの風味を楽しめます。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
秋葉 美帆 氏(フジパン株式会社)
作品名:レーズンベイクショコラ
3種類のレーズンを使うことで、レーズン → 食感としっかりしたレーズンの味わい、レーズンミンチ(ラム漬け) → レーズンのほどよい存在感とラムの香り、レーズンペースト → 全体的にレーズンの味わいをいき渡らせる といったそれぞれの良さを感じられる仕立てにしています。
また、焼きチョコと合わせることで、食感や味わいでもレーズンとの組み合わせを楽しめるパンを目指しました。
鈴木 大樹 氏(株式会社神戸屋)
作品名:レザン ピスターシュ
コロナ禍でストレスの溜まりやすい時期に、ちょっとリッチな気分になれるような、大切な人に贈りたくなるような、そんなご褒美スイーツを作りました。注目度の高まっているピスタチオをレーズンと組み合わせ、ピスタチオの香ばしさとまろやかな味わいと鮮やかな色合いと、キルシュ漬けで華やかに瑞々しく仕上げたレーズンを組み合わせました。
商品としては、ブリオッシュフィユテにキルシュ漬けしたレーズン、ピスタチオクリームを合わせ、クランブルをトッピングし、ミニブレッド型で焼き上げました。仕上げにピスタチオを散らし、さらに色鮮やかに仕上げています。レーズンはお湯洗いをし、キルシュをたっぷり吸わせることで、華やかな香りに仕上げ、ピスタチオの濃厚な香りにさわやかさを加え、相性良く仕上げました。
【オールスクラッチ製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞
中村 剛和 氏(株式会社神戸屋レストラン)
作品名:Splendide raisins
多様な組み合わせの味と具材を用いて「Splendide」(豪華な・華麗な)の名前通りに、華やかで満足感のある作品にしました。
さまざまな具材を使いながらも、主役であるレーズンを引き立てるようなバランスで配合しました。レーズンは3種の漬け込みでそれぞれを引き立て、さらにまとまりを出すためにチョコレートとマカダミアナッツを、味・風味の調整役として配合しました。ベースの生地は赤ワインで仕込むため、レーズンとの相性も抜群で、味に深みをプラスしています。
コロナ禍における「おうち時間」を豪華に華やかに過ごしていただく、そんな食シーンを想像し作製いたしました。
【受賞者のコメント】
作品名はフランス語で、他と被らないように、パンの名前にはあまり使われていない言葉を選びました。
たくさんレーズンを使うことを意識して、初めてレーズンペーストも使い、レーズンが全体に行き渡るイメージで作りました。
また、どの方向から食べても、レーズンがチョコレートやナッツ、フランボワーズ、オレンジと仲良くしているイメージで、組み合わせを重視しました。
最終形に至るまで三回ぐらい試作しましたが、あくまでもハード系で、かつ甘くておいしい、誰にでも受け入れてもらえるようなパンを目指しました。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞
大島 茂樹 氏(Baulangerie Kishimoto)
作品名:魅惑のアマンドレザン ~午後のひととき~
午後の優雅なひとときに合うパンを、という思いで考えた商品です。
カリフォルニア・レーズンの力強い味、甘酸っぱさのバランスを活かしリラックス効果のあるアールグレイとキュンメルリキュールで一晩漬け込みました。キュンメルリキュールのスパイスのスッキリさがもう一口と何度も手を伸ばしたくなるような味わいに仕上がりました。アクセントにあめがけアーモンドでコク味と食感を出しました。生地にはブリオッシュを使用し、保湿性を意識し、表面をグラス・アローでコーティングしました。また、現在コロナ禍で仲間と楽しく食事することは難しい世の中ではありますが将来明るく仲間と少しずつ切り分けシェアして笑い合える様な願いを込めて細長く切り分けられる形にしました。
上木 雅司 氏(株式会社ドンク)
作品名:ブリオッシュ・オ・レザン ~アルザスの香りと共に~
カリフォルニア・レーズン、ドライポワール、ドライフィグをキルシュワッサーで漬け込み旨みと深みを凝縮させました。中生地にはシナモン、クローブ、チンピを使い、濃厚で香り高いコクのある生地に仕上げ、口溶けや歯切れの良い生地を合わせることで一体感が生まれました。キルシュワッサー、スパイスの華やかな香りと凝縮されたレーズンの旨みがマリアージュしてかつてない商品に仕上がりました。薄くスライスして少しずつ頂ける商品となっています。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
髙橋 翔 氏(株式会社神戸屋レストラン)
作品名:ティアラ・レーズン
ジューシーなカリフォルニア・レーズンをバター風味が強く、しっとりとした食感のブリオッシュフィユテと組み合わせ、大人のリッチなスイーツを目指しました。レーズンはシンプルにラム酒に漬け、ペーストは酸味あるリンゴと合わせ、レーズンの甘さをより引き立てるようなフィリングとして仕上げています。
更にポイントとして、全体の味の引き締めとして、フィリング材料の一つにはちみつを採用しております。外見はブリオッシュに縁あるマリーアントワネットをイメージし、ティアラのような成形に仕立て、色味あるトッピングと味のアクセントとして、フランボワーズジャムを表面に絞っております。
佐々木 和希 氏(株式会社ドンク)
作品名:Lingots au raisin
甘いフレーバーとの相性が良く、肉厚でジューシーな食感のカリフォルニア・レーズンをより活かす為、“リキュールに3日間漬けたレーズン” “バナナクレームダマンド” “バターを折り込んだブリオッシュ”を組み合わせました。
しっとりしながらも、サクサクとしたパンは、レーズンの甘さとジューシーな食感をより、引き立たせ、バナナやバターの芳醇な香りも楽しめます。
アクセントとして、仕上げにビターチョコレートを使用し、バランスよく仕上げました。
ちょっとしたティータイムに、友人や家族と分け合って、食べていただけるように、大きさもこだわりました。
斉藤 豊 氏(株式会社ドンク)
作品名:La vigne rouge (赤い葡萄畑)
生地に赤ワインとカシスピューレを混ぜる事で赤ワインの香りにベリーの香りと甘みを加えました。生地に練り込むレーズンには白ワインとオレンジピューレで漬け込む事ですっきりとした甘みを出し、レモンピールとオレンジも一緒に練り込み柑橘系の香りと味を加えレーズンの味を引き立てました。シナモンの風味でグリューワインの様に全体の味をまとめ上げた風味豊かでさわやかな味わいの製品です。夕食やお酒と共におすすめしたい製品です。
小出 塁 氏(グルマンマルセ株式会社)
作品名:botanical stollen ~ローズヒップの香り~
乳製品、卵、バター不使用のヘルシーなシュトーレンです。代わりにアーモンドミルク、ココナッツオイルを使用している為、健康面や美容でも期待ができます。型で焼き上げる事、レーズンを煮詰めた餡を生地に加える事で製品の保湿性、保存性が増します。
レーズン餡は冷蔵で1ヶ月ほど保存が効くのでペーストよりも作業性に優れています。漬け込みに使用したローズヒップティーはビタミンCを多く含み、美肌効果があります。ローズヒップティーの特徴である甘酸っぱい爽やかな香り、ぶどうジュースで漬け込んでより深みを出したジューシーなレーズンが口いっぱいに広がります。アルコールは一切使用していない為お子様にも安心してお召し上がりいただけます。三角型のスタイリッシュで魅力的な見た目はギフトにも最適。季節を問わず家族みんなで分けて食べていただけるシュトーレンです。