カリフォルニア・レーズン協会 一般消費者向けページ

■2020年06月22日■

「第28回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」
2部門の大賞はフランソアの谷口 美幸 氏と
ドンクの西川 亜季 氏に決定!


カリフォルニア・レーズン協会は、2020年6月12日(金)、13日(土)の両日、「第28回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を日本パン技術研究所(東京都江戸川区)で実施し、大賞2名を含む合計11名の入賞者を決定、表彰しました。

本コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に実施、28回目の今年は、「量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門」(工場生産し、完全包装で販売する作品とベイクオフ・QBD製法で生産し販売するパン)と、「オールスクラッチ製品部門」(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパン)の計2部門で作品を募集した結果、日本全国から計136作品の応募がありました。第一次書類審査で21名が選出され、うち2名が辞退したため、19名のファイナリストが最終審査に臨みました。

ファイナリストたちは2日間に渡る計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などについてのプレゼンテーションを行いました。その後、質疑応答と試食審査が行われました。審査は製パン技術関係者6名のほか、カリフォルニア・レーズン協会駐日代表のジェフリー・マクニールが審査員長を務めました。

審査の結果、カリフォルニア・レーズン大賞は、量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門では(株)フランソア 谷口美幸氏の『ざっくりとろけるラムレーズン』が、オールスクラッチ製品部門では(株)ドンク 西川亜季氏の『カリフォルニアの恵み ~美味しい三重奏~』が受賞しました。この2名を含む11名の入賞者には、楯と、副賞としてカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」が贈られました。(研修旅行の実施は2021年へ延期)

今回の受賞作品は、これから続々と発売開始される予定です。カリフォルニア・レーズン協会は、今後もカリフォルニア・レーズンの使い方や新製品開発のアイデアを提供してまいります。

入賞者全員と審査員

● カリフォルニア・レーズン協会 駐日代表 ジェフリー・マクニールの挨拶 要約
カリフォルニア・レーズン協会を代表し、本日、「カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」へ19名の優秀なファイナリストの皆様をお迎えすることができ、大変嬉しく思っております。また、審査員の皆様には、貴重な専門知識を応募作品への評価に活かしてくださり、厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大により、過去28年の当コンテストの歴史においても、本年は最も困難な年となりました。今回のコンテストを実現するために、最終審査中も感染予防対策のガイドラインを遵守し、また遠方からお越しいただいた方々には参加をご決断いただいたことに、協会として深く感謝申し上げます。
今年の最終選考に残った作品は、実に優れたものばかりで、日本全国から参加されたファイナリストの皆様の独創性と高い技術が反映されていると感じました。審査員の一人として、ファイナリストの皆様にはご自身の才能をぜひ誇りに思っていただきたいと、心より申し上げます。
優れた技術と素晴らしい作品を披露したファイナリストの皆様に、重ねてお祝いを申し上げます。全ての作品を試食審査することができ、光栄に存じます。皆様が、今後ますます技術を磨かれていきますことを期待しております。

● 山﨑 豊 氏の審査総評 要約
「第28回 カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト」第一次書類選考は、5月19日、厳正かつ公平に行われ、量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門20作品、オールスクラッチ製品部門116作品、全136作品の応募の中から、最終選考に進む21作品を選出しました。
どの作品も、レーズンを主役としてレーズンの美味しさを究極に求めており、色々な食品・食材との組み合わせなど本当に素晴らしい作品が多く、技術レベルの高さを感じることができ、今回はこれまで以上に選ぶのに苦労致しました。今の時代に合わせた作品も多く、季節商品や健康をコンセプトに、また、食材として和材料やスパイス等を幅広く使用しており、レーズンパンの可能性を秘めた、消費者にも十分楽しんでいただける作品ばかりだったと思います。その中から本日、大賞が決まりましたが、第一次審査の審査員全員が納得いく作品が選ばれたのではないでしょうか。
二点ほど、今後のレシピ提出についてお願いがあります。まず、第一次審査は作品の写真が大切です。自分の作品を最初にアピールするのが写真です。今一度、作品写真の撮り方を考えていただきたいと思います。また、未だに、レシピの材料名に商品名を記入して減点されている応募作品があります。選考で僅差の場合、この減点が響く可能性もありますので、提出前に再度確認、見直してほしいと思います。

● 渡邉 睦 氏の審査総評 要約
最終審査には非常に素晴らしい作品が揃って、甲乙つけがたく、選考は本当に悩みました。 今回の特長として、色々な素材の使い方、例えば和素材との組み合わせなどをかなり工夫されて、色々と試行錯誤されたことがうかがえる作品が多かったように感じました。以前は、組み合わせた味に少々疑問を感じる作品が出たこともあったのですが、今回はいずれも大変美味しく、どの作品が選ばれてもおかしくないというように感じています。
私からのアドバイスとして、商品開発中は、試作をしていくうちに味や食感を考えてどうしても色々と足していってしまい、あるところでどれを引いたらいいか分からなくなってしまうことがあります。そうすると、配合が複雑となり手間がかかりすぎてしまい、最終商品として実際にお店で販売するときにネックになってしまうケースもありますので、どんどん足していったときは引いていくこと、最終的にはできるだけ少ない材料、少ない手数・作業数で効率よくやっていき、利益を出せる商品づくりを、今後よく検討していただければと思います。


入賞作品

(※所属企業・団体名の敬称略)

【量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門】

◆ カリフォルニア・レーズン大賞

谷口 美幸 氏(株式会社フランソア)

作品名:ざっくりとろけるラムレーズン

カリフォルニア・レーズンの甘み、ジューシーな食感が存分に味わえるように仕上げました。
レーズンの甘みが引き立つように、酸味のあるクリームチーズとラズベリージャムを使って、味のメリハリが感じられるようにしました。また、レーズンの風味が引き立つように、生地に練り込んだレーズンはラム酒に漬け込み、さらにレーズンのコクを出すためにカリフォルニア・レーズンペーストを生地とクランブルに加えました。
そして、レーズンのジューシーな食感が引き立つように、パン生地は口溶けのよい配合に、トッピングにクランブルとグレーズを使ってざっくりとした食感に仕上げ、一口食べていろいろな食感が味わえるようにしました。

【受賞者のコメント】
今回は2回目の挑戦でした。
作品は、コントラストがポイントです。パン生地の方はしっとりとろけるような食感、トッピングのクランブル、グレーズはさっくりとした食感で作りました。レーズンは甘みがありますので、酸味があるクランベリージャム、そしてクリームチーズを使ってコントラストが出るように仕上げました。
粒のカリフォルニア・レーズンにプラスしてレーズンペーストを使いました。レーズンペーストを入れることで色味が濃くなり風味のコクが出るので、その2点を使っています。


◆ カリフォルニア・レーズン金賞

合田 桃子 氏(株式会社ニューイングベーカリー九州)

作品名:くるくるレザン・ノワ

カリフォルニア・レーズンと相性の良い同じカリフォルニアで採れたくるみをダマンドと一緒に巻き込みました。
カリフォルニア・レーズンはりんごジュースに漬け込むことで、りんごの甘酸っぱさを付加し、ダマンドには潰したレーズンを加えることで、砂糖だけでは出せないレーズンの甘みを感じられるようにしました。生地中の全粒粉は、湯種に処理することで、全粒粉のえぐみを軽減し、生地に全粒粉の味わいと旨みを感じられるようにしました。トッピングのくるみは焼成中に周囲の糖が溶け、中心のダマンドにしみ込むことで、食べ始めのダマンドの食感と、中心のダマンドの食感に変化を出しました。


◆ カリフォルニア・レーズン特別賞

近藤 絢香 氏(株式会社神戸屋)

作品名:“冬にほっと”シナモンレーズンフラワー

レーズンと相性の良いシナモンを組み合わせ、冬に食べたくなるようなパンを作りたいと思い、この作品を作りました。
冬の冷えた体を温めるシナモンをケーキ生地と折り込みシートに使い、白あんと合わせ、しっとりとした食感のパンに。アールグレイパウダーとアップルブランデーで漬け込んだ華やかな香りのレーズンとシナモンの織りなすハーモニーを楽しんでいただける、お花のようなかわいい作品です。

田中 悠 氏(株式会社神戸屋)

作品名:和のレーズンツイスト ~ジンジャーのかくれんぼ~

油脂や糖の多いリッチな生地にレーズンを巻き込み、ツイストして焼き上げました。デニッシュ生地とダマンド生地の縞模様が、見た目にかわいい製品です。
テーマとしては「レーズン×和素材 ~普段食べ慣れている和素材との組み合わせでレーズンを身近に~」です。レーズンは白みそと甘酒で処理することで風味のよさはそのままに、レーズンの重厚さをぎゅっととじこめました。この重厚さを活かすために黒糖を使用したフィリングを合わせました。このフィリングにジンジャーパウダーを練り込み、ほのかな辛味をアクセントにしました。はっきりとした香りや味が特長のカリフォルニア・レーズンとスパイシーなジンジャーパウンダーは相性がよく、全体の味のバランスを整え、ついつい食べ進めてしまうような作品に仕上げました。


【オールスクラッチ製品部門】

◆ カリフォルニア・レーズン大賞

西川 亜季 氏(株式会社ドンク)

作品名:カリフォルニアの恵み ~美味しい三重奏~

この作品はカリフォルニア産のレーズン、クルミ、バレンシアオレンジを使用し、サブタイトルに「三重奏」という言葉で表現しました。
レーズンはラム酒に漬け甘みとジューシーさを、オレンジはコアントローに漬け酸味と爽やかさを引き出しました。クルミは刻んでクラックランにし、食感のアクセントとして使用しました。仕上げに使用したバレンシアオレンジのジュレは見た目を華やかにし、またスターアニスと煮つめることでスターアニスの効能と風味をプラスしました。
シンプルな食材の組み合わせで甘みと酸味をバランス良く仕上げ、飽きのこない作品となっています。

【受賞者のコメント】
今回は3回目の挑戦でした。
作品名にもあるように、カリフォルニアの恵みであるレーズン、クルミ、バレンシアオレンジの3種類の食材を使用しました。
レーズンは、甘味がしっかりと感じられるように工夫し、そこにバレンシアオレンジで爽やかさと彩りをプラスしました。くるみを使って食感にアクセントを付けました。
レーズンは、シンプルですがラム酒漬けし、生地に練り込むのとクリームチーズと合わせてフィリングとして、最後に仕上げとしてのトッピングとして使用しました。その3工程で使用することで、レーズンの味がしっかりと感じられるかと思い工夫しました。


◆ カリフォルニア・レーズン金賞

長野 実加子 氏(カネカ食品株式会社)

作品名:Vague au Raisin

パン屋さんに、手土産になるような商品がもっとあれば…と思い、美味しくて栄養価の高いレーズンを使用した、華やかなデニッシュを考えました。
バターの折り込みを4つ折り2回にすることで、デニッシュが波立っているような外観に躍動感を持たせました。なので、作品名にVague (仏語で「波」の意味)を入れています。
外側のスパイス生地は、パリッとした食感と程よいスパイス感の付与とシーターの汚れ防止のために貼りつけています。焼き上がりすぐに、少し煮詰めたラムシロップを打つことで、デニッシュの食感を残しつつも中はしっとりとします。この大きさでは、1日で食べ切れない場面もあると思いますが、数日間、パサつかずおいしさを保つことができます。

浅井 一浩 氏(トモニパン)

作品名:トリプル効果でおいしく健康! 小豆茶レーズンライブレッド

日本のパン屋さんの定番商品であり、人気商品でもある「あんぱん」。「あんこ」は昔から日本人に馴染みのある素材で、手軽に食べられるというのが人気の続いている理由だと思います。私も自店であんこを炊いていますが、その煮汁には、ポリフェノールが豊富に含まれ、脂肪をためにくくするダイエット効果があり、更に美肌やアンチエイジング効果まで!良いことづくしの食材です。
このパンは、あますことなく小豆の栄養分を使い、体に良いと分かっていながらなかなか手がのびない消費者の多いライ麦パンをあえて使い、レーズンのコラボレーションで栄養面、味、全てにおいてトリプル効果以上の魅力いっぱいの作品となっています。歯切れ良く、食べやすいパンですが、味が単調にならないよう、ゆずピールを入れました。

◆ カリフォルニア・レーズン特別賞

上村 昭博 氏(ブーランジュリー アヴェック)

作品名:Flo raisin ~はんなり梅酒レーズン~

作品名のFloraisin (フロレザン)は、raisin (葡萄)とfloraison (開花)の造語です。葡萄の花の開花時期と梅の実を収穫する時期が近いことから制作の発想を得ました。
カリフォルニア・レーズンは水洗いなどせず梅酒と青梅に長期間漬け込み、途中、梅酒を追い足すことで、レーズンのフルーティーさと梅の風味がしっかり移り味わうことができます。
パン生地は高加水の配合にし、保湿作用の機能性もあるレーズンを自家製ペーストにして配合したことでパンの老化を遅らせ、長い時間変わらない美味しさを楽しんで頂けます。
梅酒香るはなやかなレーズンとモイスチャーなパン、日本人がどこか懐かしさを感じる和素材を味のアクセントにした、開花をイメージしたレーズンパンです。

相田 綾 氏(グルマンマルセ株式会社)

作品名:Campagne raisins secs ~パンを分け合う人々へ~

カリフォルニア・レーズンの粒をイメージした作品です。
一番の特長は発酵種を多く配合している点と、ヨーグルトを加えて発酵させることで、まろやかな酸味を生地に付与することができました。カリフォルニア・レーズンの持つ天然の甘味を活かすために、イチジクの赤ワイン煮で食感と香り、クルミの香ばしさ、クランベリーとカレンズの酸味を加え、それぞれ違った洋酒に漬け込むことで味に奥行きを出しました。健康面からも、ミネラル・食物繊維を豊富に含み、カリフォルニア・レーズンとも相性や良いライ麦を使ったカンパーニュ生地を選びました。レーズンのペーストも添加し、吸水を多くすることで、保存性も高めることができました。

小林 莉子 氏(株式会社ドンク)

作品名:Pane all'uvetta giapponese

レーズンをゼラチンと黒糖で漬け込んでいるため、ぷるっとした食感とコクのある甘さになり、このパンの主役で最高の仕事をしてくれています。
生地にほうじ茶を混ぜることで、レーズンの甘さを引き立てる落ち着いた味に調え、きなこマカロンで上のサクッとした食感と和風さをアップさせる香ばしい香りをプラスしました。さらに金平糖を入れることで、切った断面の華やかさやSNS映えを狙いました。
和風で落ち着いた味でありながらも、ごろごろ入ったレーズンのコクのある甘さと全体に散りばめたサクッとした食感のアクセントで、いくら食べても食べ飽きない、幼児からご高齢の方まで幅広い年代に食べてもらえる和風なパネトーネに仕上げました。

岸本 章 氏(Boulangerie Kishimoto)

作品名:大地の恵み

見た目にも華やかでインパクトのあるパンにしました。外側のクロワッサン生地は貼り付けにすることによって食感をさらに強調し、内側のブリオッシュ生地はしっとりとフィナンシェやマドレーヌのような食感になるようにしました。さらに上には、レーズン味のガナッシュを入れ、味わい豊かに仕上げました。レンジアップするとガナッシュがソースにもなり、フォンダンショコラのようにも楽しんで頂けます。ブリオッシュ生地には甘ったるくなりすぎないようにカカオニブの酸味を加え、全体のバランスを整えました。