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■2015年6月30日■
第24回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト
カリフォルニア・レーズン大賞は敷島製パンの江口 貴和子氏、アンデルセンの近藤 聡氏、
アメリカンチーズ大賞はドンクの大下 福朋氏に決定!
カリフォルニア・レーズン協会は、2015年6月19日(金)、6月20日(土)の両日、「第24回カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」の最終実技審査を日本パン技術研究所(東京都江戸川区)にて実施し、最終審査に臨んだ21名のファイナリストの中から大賞3名を含む合計11名の入賞者を決定、表彰しました。
24回目の今年は、「長く愛されるアイデア溢れるレーズンパン」をテーマに、「ホールセール・コンビニエンス製品部門」(工場でのライン生産・機械梱包し販売する製品)、「インストア・リテールベーカリー製品部門」、 アメリカ乳製品輸出協会の特別協賛による「アメリカ産チーズ部門」(カリフォルニア・レーズンとアメリカ産チーズを使用した製品)の計3部門で作品を募集しました。その結果、全国より計230作品もの応募がありました。
当日は、製パン技術者および関係者8名が審査を行いました。カリフォルニア・レーズン協会、およびアメリカ乳製品輸出協会の駐日代表 ジェフリー・マクニールが審査員長として、また、カリフォルニア・レーズン協会米国本部よりシニア・バイス・プレジデントのラリー・ブラッグが来日し、審査に参加しました。
2日間、計7時間に渡る作品製作の後、ファイナリストによる作品の製作意図や特長などについてのプレゼンテーションと質疑応答、試食審査が行われ、厳正なる審査の結果、入賞者が決定しました。また、公募により選ばれた「レーズンパン大好き」な消費者代表審査員10組(11名)が、「味、見た目、価格」を基準に「自分が買いたいレーズンパン」を選び、それぞれの部門で最高得点を獲得した作品が消費者推薦賞を受賞しました。
カリフォルニア・レーズン大賞には、ホールセール・コンビニエンス製品部門から江口貴和子氏(敷島製パン)の「管理栄養士が作った1/3日分の鉄分がとれるレーズングラノーラ」が、またインストア・リテールベーカリー製品部門からは近藤聡氏(アンデルセン)の「ココナッツレーズン」が選ばれ、ココナッツレーズンは消費者推薦賞とのW受賞となりました。アメリカ産チーズとカリフォルニア・レーズンを使ったアメリカ産チーズ部門のアメリカンチーズ大賞には、大下福朋氏(ドンク)の「レーズンと黒米のチーズブレッド」が選ばれました。入賞者全員に、楯とカリフォルニア・レーズンの故郷「フレズノ」への研修旅行への招待が贈られました。
喜びを表す入賞者と審査員
試食を終えた消費者審査員からは、様々な感想が聞かれました。「どの作品も良く考えられてつくられていると思った」、「塩味のパンが好きだった」などパンに対する評価や、「もっと多くのホールセール・コンビニエンス製品部門のパンを試食したかった」、「シンプルなレーズン食パンも食べてみたい」などの要望に加え、「お店で、今日食べたパンに会えるのが楽しみ」、「普段はあまり購入しない種類のパンを試食する機会があって良かった。今後はいろいろなパンに挑戦したい」、「たくさんのパンを試食する中で、自分がどのようなパンが好きか発見できた」など、レーズンパン好きならではの感想もありました。
表彰式では、本コンテストの審査のために来日した、カリフォルニア・レーズン協会米国本部のシニア・バイス・プレジデント ラリー・ブラッグが、「日本はカリフォルニア・レーズン産業にとって最大の輸出国であり、その多くが製パン業界で使われております。私どもは農産物生産者団体で、美味しいカリフォルニア・レーズンを作ることは得意としておりますが、それを美味しいパンにするアイデアと技術は持っておりません。ベーカーの皆様が、レーズンを使った美味しい新製品を開発して消費者に届けていただく事に大変感謝しております。また、本コンテストに皆様を参加させてくれました上司の方々や企業にも重ねて感謝を申し上げます。私どもは、これからも美味しいレーズンを供給してまいりますので、今後ともカリフォルニア・レーズンを宜しくお願いいたします」と、開会の挨拶を申し上げました。
ブラッグの挨拶に続き、審査員代表として、公益社団法人全日本司厨士協会 理事長 大西元年氏、一般社団法人日本パン技術研究所 所長 井上好文氏が総評を述べました。大西氏は、「書類審査を通るには重要なことですが、今回はレシピが読みやすく書かれ、作品の様子がわかりやすく撮れている写真が多かったと思います。レーズンの下処理に黒糖蜜、本みりんや酒かす、塩などを用い、パンを美味しくするためのレーズン本来の味を引き出す様々な工夫がされていました」と述べました。
井上氏は、「このコンテストは、日本の製パン技術向上に極めて重要な役割を果たしており、24年間という長きに渡り継続的に開催している主催者に敬意を表したいと思います。また、全てのファイナリストが消費者により美味しいパンを楽しんでいただきたいという強い気持ちを表現するために様々な工夫をしており、私自身、大変勉強になりました。そのことは、パン産業に携わる者として大変心強く感じました。美味しいパンを開発する技術力は、全てのファイナリストが非常に高いレベルに達していました。その中でも、入賞者は美味しさの演出方法と消費者へのアピール方法が秀でていたと思います。これからは、パン作りの永遠の課題である、美味しいパンをより合理的に製造することを追求して頂きたいと思います。また、毎日の食事には欠かせない存在になってきたパンと栄養との健康的な関係を、科学的根拠を持って消費者にアピールしていって欲しいと思います」と、今後の課題を投げかけました。
表彰式に引き続き執り行われたレセプションでは、カリフォルニア・レーズン協会、およびアメリカ乳製品輸出協会 ジェフリー・マクニール駐日代表が、「本日は、カリフォルニア・レーズン、アメリカンチーズの素晴らしい活用方法を見ることができました。今年のコンテストは、これまでのコンテストの中で一番といってもいいほどの素晴らしい作品が集まったのではないかと思っています。皆さんの作品が、早く日本の消費者に届けられることを楽しみにしております。」と乾杯の挨拶をいたしました。
また当日は、2015年1月に静岡県伊豆の国市にて開催された「第9回全国高校生パンコンテスト」でカリフォルニア・レーズン作品部門にてカリフォルニア・レーズンJr.大賞を受賞した加藤真璃さんが、惜しくも同コンテストで入賞を逃したファイナリスト 鶴田柚稀さんと共に最終実技審査を見学。レセプションで、「大人の方が本気になって取り組んでいる姿を間近で見て、自分も何かに真剣に取り組む人になりたいと感じました。プロの方々の仕事は一つも無駄がなく、次に何をするのかを考えながら作業をしていました。このコンテストが35回目ぐらいまで続くのであれば、今よりもっと技術を身につけ、アメリカの研修旅行へ行きたいです」と、感想を述べました。
入賞作品
(※所属企業・団体名の敬称略)
【ホールセール・コンビニエンス製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞
江口 貴和子(えぐち きわこ)氏(敷島製パン)
作品名:管理栄養士が作った1/3日分の鉄分がとれるレーズングラノーラ
メイン購買層である女性のニーズを取り入れ「忙しい朝にもレーズンで美味しく栄養補給」をコンセプトに、携帯しやすいスリムで薄い形状のスコーン風デニッシュに仕上げた作品。
【受賞者のコメント】
これまで4回挑戦し、最終審査は2回目の参加です。入賞は初めてです。作品のポイントは、1個食べるだけで成人女子の一日の食事摂取基準鉄推奨量の1/3が摂れるように設計したことです。研修旅行では、普段使っているレーズンがどの様に生産されているのかを見て来たいと思います。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞 / 消費者推薦賞(W受賞)
飯田 ふみ(いいだ ふみ)氏(神戸屋)
自家製レモンカードと紅茶漬けレーズン、白あんを組み合わせ、サクサクとした食感のディニッシュ生地に仕上げた作品。「働く女性に安らぎのひとときを」をコンセプトに設計。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
堀里 栄(ほりさと さかえ)氏(敷島製パン)
作品名:和ごころレーズン
京都のおたべをイメージし、黒糖蜜とラム酒漬けレーズンにシナモン、おもち、豆乳、つぶあんと和の素材を合わせた和テイストな作品。4日経っても固くならず、温めても冷やしても美味しい。
【インストア・リテールベーカリー製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞 / 消費者推薦賞(W受賞)
近藤 聡(こんどう さとし)氏(アンデルセン)
作品名:ココナッツレーズン
一口食べるとココナッツが香り、レーズンの甘みとパッションフルーツマジパンの酸味とコクがとても合っている作品。キャラメリゼしたレーズンとくるみでほろ苦さと香ばしさをプラス。
【受賞者のコメント】
今回が2回目の挑戦で、最終審査まで残ったのは初めてです。
生地のサクサク感を強調する為に、18層にしました。また、ココナッツの香りを出すように工夫したところがポイントです。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞
山崎 豊(やまざき ゆたか)氏(神戸屋レストラン)
時間のない朝でも簡単に食べられる健康的なパンとして、はちみつを練り込んだしっとりとした ヨーグルト生地の中に、レーズンの甘みとラズベリーの酸味をバランスよく合わせた作品。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
今井 悠輔(いまい ゆうすけ)氏(クラブハリエ ジュブリルタン)
作品名:エキゾチック レザン
桑の葉のほのかな苦みとパッションフルーツの酸味、ココナッツの香りでレーズンの旨みを最大限に引き出した作品。パリッとしたクラスト、ジューシーなレーズンと違った食感が楽しめる。
作品名:ジューシー モイスト レーズン
レーズンにりんごジュースをたっぷり含ませ、カルヴァドスでレーズンとリンゴの同調された風味を際立たせた作品。最大限吸水させた生地にもレーズン酵母液を使い、レーズンの熟成された香りをプラス。
伊藤 まどか(いとう まどか)氏(ポンパドウル アソシエ)
作品名:クグロフ・アントワネット
芳醇な風味のラム酒とバニラ漬けレーズンを練り込んだ2色の生地を巻き込み、シロップに浸し乾燥を抑え、レーズンの保湿性や防カビ性も利用した日持ちの良い作品。ギフトとしても提案。
【アメリカ産チーズ部門】
◆ アメリカンチーズ大賞
大下 福朋(おおした ふくあき)氏(ドンク)
作品名:レーズンと黒米のチーズブレッド
生地にバターとクリームチーズを塗り、黒米と米油を使用し、さっくりしながらしっとりした食感にこだわった作品。チーズの塩味とレーズンの自然な甘さが絶妙なバランス。
【受賞者のコメント】
アメリカ産チーズ部門は、初めての挑戦です。試作は1回しか出来ませんでしたが、頭の中では何十回も行っていました。さっくりでしっとりと想像がつかない食感に仕上げた点がポイントです。
試食審査ではあまりにも緊張して、心ここにあらずでした。
◆ アメリカンチーズ金賞
石毛 嘉一(いしげ よしかず)氏(神戸屋レストラン)
ポーリッシュ種を使用し、生地にレーズンと相性の良い柑橘系のオレンジはちみつバターを塗り、レーズンとチーズの味を一層引き立たせたバランスの良い作品。
◆ 消費者金賞
松木 崇至(まつき たかし)氏(ドンク)
作品名:アロマティック・トルデュ・レザン〜純米本みりん仕立て〜
レーズンを本みりんで煮込むことにより、レーズン本来の自然な甘みとコクを引き出し、クリームチーズと酒粕を合わせることで深みのあるしっとりした食感がある作品。
入賞作品は、今後、続々と店頭に並ぶ予定です。
発売情報は、当ウェブサイトでご紹介しています。
カリフォルニア・レーズン協会では、今後ともコンテストやセミナーを通して、カリフォルニア・レーズンの使い方、新製品開発のアイデアなどを積極的に提供してまいります。カリフォルニア・レーズン協会が行った各コンテストやセミナーの情報、およびレシピ等は、当ウェブサイトでもご案内します。