カリフォルニア・レーズン協会 一般消費者向けページ

■2024年06月21日■

「第32回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」
2部門の大賞はグランソールベーカリー㈱の渡邊智紀氏と
㈱東京ポンパドウルの市野瀬政喜氏に決定!


カリフォルニア・レーズン協会は、2024年6月14日(金)、15日(土)の両日、「第32回 カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を日本パン技術研究所(東京都江戸川区)で実施し、大賞2名を含む合計12名の受賞者を決定、表彰しました。

本コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に実施、32回目の本年は、「量販製品部門」(工場生産し、完全包装で販売する作品とベイクオフ・QBD製法で生産し販売するパン)と「オールスクラッチ製品部門」(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパン)、そして「育成機関部門」(オールスクラッチ製法の作品)の計3部門で作品を募集した結果、日本全国から計136作品の応募がありました。

第一次書類審査で選出された、量販製品部門とオールスクラッチ製品部門のファイナリスト計21名が最終審査に臨み、2日間に渡る計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などについてのプレゼンテーションを行いました。その後、質疑応答と試食審査が行われました。なお、育成機関部門は、作品持ち込みによる試食およびプレゼンテーションでの審査を行いました。審査は製パン技術関係者6名のほか、カリフォルニア・レーズン協会駐日代表のジェフリー・マクニールが審査員長を務めました。また、今回は、レーズンパンが大好きで当協会と親交のある、宇宙飛行士の若田光一氏が特別審査員として参加してくださいました。

審査の結果、カリフォルニア・レーズン大賞は、量販製品部門ではグランソールベーカリー㈱渡邊智紀氏の『レザン・マリアージュ 赤と白の融合』が、オールスクラッチ製品部門では㈱東京ポンパドウル 市野瀬政喜氏の『Cheer raisins』が受賞しました。また、育成機関部門では、専修学校日本菓子専門学校 平岡幸二郎氏の『パン・オ・シシリー・レザン』が優秀賞を受賞しました。全12名の受賞者には楯が授与され、副賞として、量販製品部門とオールスクラッチ製品部門の11名にはカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」、育成機関部門の1名には賞金15万円(ギフト券)が贈られました。

量販製品部門とオールスクラッチ製品部門の受賞作品は、これから続々と発売開始される予定です。カリフォルニア・レーズン協会は、今後もカリフォルニア・レーズンの使い方や新製品開発のアイデアを提供してまいります。

入賞者全員と審査員

● カリフォルニア・レーズン協会 駐日代表 ジェフリー・マクニールの挨拶 要約
カリフォルニア・レーズン協会を代表し、本日、「カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」へ24名の優秀なファイナリストの皆様をお迎えすることができ、大変嬉しく思っております。また、審査員の皆様には、貴重な専門知識を応募作品への評価に活かしてくださり、厚く御礼申し上げます。そして、今回ご参加くださった若田光一様に、特に感謝しております。若田さんはカリフォルニア・レーズンがお好きだとのことなので、いつかまた宇宙へ旅立つ際には、ぜひカリフォルニア・レーズンを持って行っていただけることを願っております。
本年で、カリフォルニア・レーズンのコンテストを開始してから32年目となります。この間、5000件を超えるレシピの応募がありました。当コンテストの受賞者の中には、クープ・デュ・モンドやイバカップといった、世界的に一流のベーカリーコンテストに日本代表として参加されている方もおり、大変嬉しく思います。本日この場にいらっしゃる方々も、今後そういったチャンスを得られることを願っております。
今年の最終選考に残った作品は、実に優れたものばかりで、日本全国から参加されたファイナリストの皆様の独創性と高い技術が反映されていると感じました。審査員の一人として、ファイナリストの皆様にはご自身の才能をぜひ誇りに思っていただきたいと、心より申し上げます。
優れた技術と素晴らしい作品を披露したファイナリストの皆様に、重ねてお祝いを申し上げます。全ての作品を試食審査することができ、光栄に存じます。皆様が、今後ますます技術を磨かれていきますことを期待しております。

● 若田 光一 氏による最終審査総評 要約
私はこれまで宇宙に5回行き、504日間ほど宇宙にいた中でパンを食べたこともありますが、宇宙食は一年や一年半という長期の保存期間が必要ということもあり、宇宙食としてのパンの種類はかなり限られています。マクニールさんからもお話がありましたように、日本の製パン技術というのは世界最高峰のものだと思いますので、今後も美味しいパンをたくさん作っていただいて、それが地上にいる我々だけでなく、さらに宇宙にも届けられる日が来てほしいと思っております。
本日、皆様のすばらしいパンを食べさせていただきまして、本当にありがとうございました。甲乙つけがたいおいしいものを作ってくださって、日本の製パン技術の高さというものを実感しました。皆様が培った技術を切磋琢磨するというすばらしいコンテストだと思いますし、カリフォルニア・レーズンは、本当にパンによく合うということが分かりました。
また、皆様が、カリフォルニア・レーズンの使い方を様々に工夫されていることや、フードロスを防ぐとか働き方改革につながるような効率的なパン作りとか、色々な観点で難しい課題を解決することに取り組んでいらっしゃるということも、よく分かりました。その成果として、今日いただいたようなすばらしいものを食べさせていただきまして、本当にうれしく思っております。
こういった経験を活かして、これから世界のコンテストへ羽ばたかれる方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、これからも私たちにおいしいレーズンパンを提供していただきたいと思います。皆様のさらなるご活躍を祈念いたしまして、総評といたします。


受賞作品

(※所属企業・団体名の敬称略)

【量販製品部門】

◆ カリフォルニア・レーズン大賞

渡邊 智紀 氏(グランソールベーカリー株式会社)

作品名:レザン・マリアージュ 赤と白の融合

日々の食事をワントーン上げられるような、レーズン好きのための瑞々しいハード系食事パンを目指しました。
赤葡萄と白葡萄の2種レーズンの特長を分かりやすく感じてもらえるように、赤葡萄は甘味が強いため、赤ワインと甘味のキレをよくするためにシナモン、白葡萄はほどよい酸味があるため、白ワインと酸味にシャープさをつけるために柚子リキュールを浸漬することで、フレッシュで瑞々しい漬け込みレーズンを作成しました。また、発酵種には、規格外で廃棄してしまうレーズンのペーストを配合し、複雑な旨味とコクのある甘味を表現しました。生地は、発酵種と湯種を併用した香ばしさもありながら、しっとり感と甘味のある生地を目指し、仕込み水の全量を赤ワインで仕込み、レーズンの旨味を最大限に引き出しました。
断面もワイン色で、見た目・香りが華やかで葡萄をイメージしやすく、着色料や甘味料を添加せず、素材本来の特長を最大限に生かした作品に仕立てました。また、クープ不良や成形不良で出てしまうロス品も、焼成後に粉砕し、発酵種に再利用することで、天然酵母のような風味を持った発酵種になり、品質を上げながらも、サステイナブルな要素も兼ね備えた作品に仕立てました。


◆ カリフォルニア・レーズン金賞

服部 優希 氏(フジパン株式会社)

作品名:メープル香る じゅわっとラムレーズンパンケーキ蒸し

じゅわっとジューシーな蒸しパンを作りました。ラム酒たっぷりなレーズンとたっぷりメープルとバターがかかったパンケーキをイメージした蒸しパンを合わせます。中に入っているマーガリンの塩味と生地の甘味のバランスがくせになり、食べ進めてしまいます。また、オーブンでリベイクすると、表面がカリッと、中のマーガリンがじゅわっとなり、レーズンのみずみずしさとダブルでジューシーな食感が楽しめます。
また、サイズにもこだわりがあり、1個当たりを小さめな設計にして、一口目からレーズンとマーガリンどちらも味わえるようにしました。じっとりしつつ、ベーキングパウダーを多く、また加工澱粉で軽めな食感で口溶けを良くしています。


◆ カリフォルニア・レーズン特別賞

金城 絵美佳 氏(株式会社ぐしけん)

作品名:マイハニー&マスタードレーズン

シークワーサー漬けレーズンと、相性の良いクリームチーズとはちみつのフィリングを、塩こうじを使用したしっとりやわらかい食感のパン生地で包みました。
もうひとつのフィリングには、爽やかな香りと酸味のシークワーサー果汁で漬け込んだカリフォルニア・レーズンと、粒マスタードとはちみつの甘辛いハニーマスタードを合わせて、レーズンの優しい甘みを引き出すためにバランスを整えました。
トッピングの厚切りベーコンで塩気を加え、味、香り、食感と、一品でレーズンの様々な表情を楽しめる、最後の一口まで飽きのこないパンに仕上げました。
また、記事の底面が二つに分かれており、両端をもって簡単に分けられるので、大きな口を開けてかぶりつくのが恥ずかしい女の子にも食べやすくしています。

◆ カリフォルニア・レーズン特別賞

尾勢 友伊 氏(株式会社YKベーキングカンパニー)

作品名:大人のご褒美 キャラメル&ラムレーズン

この作品は、疲れた時に食べたい、大人のためのレーズンデニッシュです。私は、家事や育児に疲れた時、子供に内緒でこっそり甘いものが食べたくなります。そんな時に食べたくなるパンとして考えました。
ビターなキャラメルクリームとラム酒が優しく香るレーズンをデニッシュ生地で包み、キャラメルレーズンダマンドをトッピング。キャラメルの濃厚な甘さの中、レーズンのジューシーな甘さがアクセントになります。ダマンドには、レーズンの他にアーモンドとパールシュガーを合わせ、「むぎゅっ」「カリッ」「じゃりじゃり」と、色んな食感を楽しんでいただけます。「子供にはあげたくない!」そんな自分ご褒美パンです。


【オールスクラッチ製品部門】

◆ カリフォルニア・レーズン大賞

市野瀬 政喜 氏(株式会社東京ポンパドウル)

作品名:Cheer raisins

「美しく、健康でいてほしい」という思いから開発に至りました。毎日の食事の中で、食を楽しむことをコンセプトにしています。
チアシードを対粉5%配合し、食感も味わうことができます。また、水で戻した際にグルコマンナンが発生します。生地に練り込むことで、焼き上がりの作品には独特の食感を与えます。歯切れの良さと、トーストした際の軽さが特長です。外皮にはシードミックスをたっぷりつけ、香ばしさと食感を付与しています。カリフォルニア・レーズンをマンゴーリキュールに漬け込むことで、パン生地内部にマンゴーの香りを付与し、カリフォルニア・レーズンの持つ本来の甘味、味ととても合います。対粉80%のカリフォルニア・レーズンを配合し、たっぷり入ったカリフォルニア・レーズンと、その他材料の香り、食感をアクセントに、食べやすさ、飽きのこないパンを作りました。
作品名は『Cheer raisins』と名付け、応援する・喝采するの意味を持つ“cheer”と、チアシードのチアを掛け合わせています。「頑張るあなたを応援したい!」という意味を込めています。


◆ カリフォルニア・レーズン金賞

小林 美紗樹 氏(株式会社ドンク)

作品名:レーズンと穀物

今回、パンを作るにあたり、カリフォルニア・レーズンの栄養成分と健康効果に注目しました。レーズンは優れたエネルギー源であると同時に、ミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富なので、その栄養成分を活かし、パン全体としても健康的なものになるよう材料を選びました。
普段よく使用する小麦粉に比べて、食物繊維が多く含まれる全粒粉を配合し、パンの表面を覆うアパレイユには優れた脂質や食物繊維を含むひまわりの種、ごま、オートミールを使用しました。対粉51.7%配合したレーズンのジューシーさと、香ばしくバリバリの食感に焼けた皮のコントラストも魅力です。レーズンやみりんそのものの甘さを活かし、砂糖を配合しなくてもたべやすく、シンプルな見た目ながら香り、味ともに奥深いパンになっています。

大島 陽子 氏(株式会社パレスホテル)

作品名:Sangria ~カリフォルニアの恵みをぎゅっと~

作品名のサングリアは、赤ワインで作られたサングリアという飲み物をイメージし、カリフォルニアの大地で育ったレーズン、ネーブルオレンジ、ピスタチオ、そしてカリフォルニアワインを使用し、パンにぎゅっと詰め込みました。カリフォルニア・レーズンの甘み・酸味を、ネーブルオレンジの爽やかな香りと旨みでさらに引き立て、ピスタチオの食感とこくで味わい深く仕上げました。赤ワインに漬け込んだスパイスが味をひきしめています。
スライスしてそのままでももちろん美味しいですが、バターをたっぷりとのせてレーズンバターのような味わいにして食べるのもおすすめです。またチーズをのせても、スモークサーモンや生ハムなどをのせてオープンサンドなどにしても、カリフォルニア・レーズンの甘み・酸味がアクセントになりとても美味しいです。
私の作品をいろいろな食べ方で多くの人に食べてもらい、カリフォルニア・レーズンの美味しさをもっと知ってもらうきっかけになると嬉しいです。


◆ カリフォルニア・レーズン特別賞

渡邉 栄治 氏(大阪新阪急ホテル)

作品名:Ecran du raisin (レーズンの宝箱)

生地に薄力粉80%使用することで歯切れのいい生地に仕上げました。練り込み用と成形用でレーズンの漬け方を変えて食感の違いを出しました。表面にはレモングラスをかけることで、レモンの爽やかな酸味と赤ワインに漬けたレーズンの甘味がとてもバランスよくできておりますのでご賞味ください。

岸本 章 氏(Boulangerie Kishimoto)

作品名:大和 Raisin

コロナも落ち着き日本のインバウンドが戻ってきた今、日本の材料を使用し、日本らしさをアピールしたパンを作ろうと思い、今回の作品を考えました。
レーズンを漬けるお酒を探していたらワサビのウォッカを見つけ、使用しました。パウダー状のワサビを少しだけウォッカに混ぜ、焼成後もさわやかな香りが残るようにしました。また、パン生地の材料を北海道産小麦粉、沖縄の塩、沖縄の砂糖、そして、日本のトラディショナルスパイスのワサビ、これらをカリフォルニア・レーズンと融合させることによって “大和Raisin” が完成します。
内麦と高加水、オーバーナイト製法によるもっちりみずみずしい生地に、鼻を抜ける爽やかなワサビの香りとまろやかなレーズンの甘み、いちごの濃縮果汁の酸味、狭山茶ペーストのほのかな渋味、色々な食感、香り、味が複雑に絡み合う、日本人にはもちろんのこと、外国の方々にも楽しんでいただけるパンが完成しました。

萩原 萌々子 氏(株式会社神戸屋)

作品名:Luxe raisins ~伊予柑をのせて~

ふんわりとした歯切れの良い生地を使用し、午後のティータイムのとっておきに、大人のリッチなスイーツを目指しました。
中には抹茶のアーモンドクリームと、ラム酒に漬け込んだカリフォルニア・レーズンと伊予柑をたっぷりと入れました。レーズンとラム酒というシンプルで定番の組み合わせでありながらも、うま味を引き出し、レーズンの存在感を引き立たせ、さらにそこに柑橘系の伊予柑を入れることでさっぱりとした味付けにもなっています。抹茶クリームとフルーツのハーモニーは絶品です!ラム酒にしっかりと漬け込んだフルーツたち。ちょっぴり大人な味わいを抹茶とともにお楽しみください。
作品名の “Luxe” はフランス語で “心の余裕を感じさせる豊かさ” を意味します。一息のほっと時間に、ぜひ。

谷口 弘樹 氏(Boulangerie Taniguchi)

作品名:Brioche 富士桜

日本を象徴する富士の山。その麓に咲く桜の中でも特に美しいとされる「富士桜」。カリフォルニア・レーズンを桜に見立て、日本とカリフォルニアを繋ぐ架け橋となるような作品に仕立て上げました。
レーズンは「桜」のジャパニーズクラフトリキュールと「ダイヤモンド富士」という富士の地酒を使用し “日本の香り” を添加。
パンはフランス ヴァンデ地方伝統の「ブリオッシュヴァンデーヌ」を参考に。マカロンを絞って焼きあげることで生地の窯伸びを良くして「レーズンの桜」が咲き乱れるような内層を目指しています。富士桜の別名愛称 “豆桜” という呼び名から、大納言かのこも加えアクセントに。
桜の開花と同時期が旬のよもぎの新緑色は、春の暖かさと若々しく希望にあふれる様を表現しています。日本人の誰もが美しいと感じる春の伝統風景を、カリフォルニアの方々にも伝えることができたら本望です。


【育成機関部門】

◆ 優秀賞

平岡 幸二郎 氏(専修学校 日本菓子専門学校)

作品名:パン・オ・シシリー・レザン

一番のポイントは、15cmのトルテ型を使用して焼きあげ、見た目をケーキのようにしたことです。春から夏に移り行く野草(季節)の色味を、ピスタチオの緑と、カットレモンの黄色で表現しました。
ピスタチオのコクと差別化するため、レーズンは清涼感のある柑橘系のリキュール “ソミュール” で漬け込みました。レーズンの味を邪魔しないように、ピスタチオの風味を何度も調整しました。
レーズンのジューシーさとダマンドクリームのしっとり感、パタグラッセの口どけの良さが合わさり、口の中でジュワッととけるような食感に仕上げました。