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- 第25回 ベーカリー新製品開発コンテスト
■2016年11月15日■
「第25回 カリフォルニア・レーズン協会 ベーカリー新製品開発コンテスト」
3部門の大賞はフジパングループ本社の吉田 須麻氏とポンパドウル アソシエの東 莉穂氏、志津屋の荻野 順平氏に決定!
カリフォルニア・レーズン協会は、2016年10月28日(金)、29日(土)の両日、製パンに携わるプロの技術者を対象とした「第25回カリフォルニア・レーズン ベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を日本パン技術研究所(東京都江戸川区)にて実施、大賞3賞を含む計11名の入賞者を決定、表彰いたしました。
本コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に実施、25回目の記念大会となる今年も「長く愛されるアイデア溢れるレーズンパン」をテーマに、「ホールセール/コンビニエンス製品部門」(工場生産ラインで製造、完全包装し、卸で販売するパン)、「フレッシュ/インストア/リテール製品部門」(ベイクオフやオールスクラッチなどで生産し、無包装で販売するパン)、アメリカ乳製品輸出協会の特別協賛による「アメリカ産チーズ部門」(アメリカ産チーズとカリフォルニア・レーズンを使用したパン)の3部門で作品を募集しました。その結果、日本全国から計201作品もの応募があり、一次書類審査で選出された21名が最終実技審査に臨みました。
ファイナリストたちは2日間に渡り計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などについてのプレゼンテーションと質疑応答、試食審査が行われました。審査は製パン技術関係者7名の他、カリフォルニア・レーズン協会、およびアメリカ乳製品輸出協会の駐日代表であるジェフリー・マクニールが審査委員長を務め、第25回記念大会に来日した、カリフォルニア・レーズン協会米国本部モンテ・シュッツ会長とシニア・バイスプレジデントのラリー・ブラッグも審査に加わりました。また、公募により選ばれた15名の消費者代表審査員が、味、見た目、価格を基準に「自分が買いたいレーズンパン」を選び、それぞれの部門で最高得点を獲得した作品が 「消費者推薦賞」を受賞しました。
審査の結果、カリフォルニア・レーズン大賞は、ホールセール/コンビニエンス製品部門ではフジパングループ本社 吉田須麻氏の「ぎゅっとレーズン」が、フレッシュ/インストア/リテール製品部門ではポンパドウルアソシエ 東莉穂氏の「ピーナッツ & レーズン」が受賞しました。アメリカ産チーズ部門では、志津屋 荻野順平氏の「レーズンとチーズのリュステック~山椒の香り~」がアメリカンチーズ大賞に選ばれました。11名の入賞者には、楯とカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」が贈られました。
作品製作・実技審査風景
カリフォルニア・レーズン協会米国本部モンテ・シュッツ会長は、表彰式にて「本日、ファイナリストの製作の見学や作品試食をさせていただき、日本のベーカリーシェフは世界でもトップクラスの技術者であるということを改めて確信しました。この25年間で6,000以上のレシピが開発されたと聞いていますが、小さなカリフォルニア・レーズンを使ってそれだけたくさんのレシピが開発されたことに驚いています。これはレーズンの持つ多様性と応用性、そしてベーカーの方々の優れた創造力によるものだと思います」と挨拶いたしました。また、協会本部 シニア・バイスプレジデントのラリー・ブラッグは、「皆様のご協力により、コンテストがこんなにも長い間継続して開催することができましたことを深く感謝するとともに、たいへん嬉しく思っております。25年前のコンテスト開始当時は、協会として開発者とそれをサポートする企業の双方に意義のある活動にしたいと考えていました。今では、このコンテストに参加されたベーカー、およびペストリー・シェフの方々はその能力と実力を発揮し、本コンテストにとどまらず世界レベルでベーカリー業界にて活躍されています。今回25周年を迎えることができ、当初の目的を達成できたのではと思っています」とレセプションにて感謝の意を表しました。
また、審査員を代表し、公益財団法人全日本司厨士協会 大西元年理事長および一般社団法人日本パン技術研究所常務理事 井上好文所長が総評を述べました。
大西氏は「パンの歴史は、先人たちが技術や味、材料において試行錯誤を繰り返し今日があります。レーズンも 材料の一つであり、これからもレーズンを使用した更においしいパンが作られていくと確信しています。本日のコンテストにおいて、入賞作品と入賞を逃した作品の差は紙一重でした。これからも更なる研究を重ね再び挑戦し、消費者から人気の得られるおいしいパンを作ってください」とファイナリストたちの健闘を称えました。
続いて井上氏からは、「我が国のパン業界は、ホールセールベーカリーとリテールベーカリーに大別されます。このコンテストは両方の部門を設け、作品だけでなく製造に関わるすべてのプロセスを審査する本格的な製パン技術コンテストであり、パンの製品開発技術の向上に多大な貢献をしています。このような貴重なコンテストを25年間もの長きにわたり継続的に開催しているカリフォルニア・レーズン協会に、ベーカリー業界の一員としてお礼を申し上げます。最終審査に残った21作品は、いずれもレーズンを上手に使いパン食をさらに豊かにしてくれる 魅力的な作品でした。すべての作品が入賞してもおかしくないと感じました。入賞した作品は斬新性や普遍性などの点で、他の作品よりも強くアピールできたのではないかと感じています。入賞者の皆様には、各自の作った作品をひとりでも多くの消費者に楽しんでもらえるよう、明日から商品化にむけての努力をしていただきたいと思います」と、ファイナリストのレベルの高さを評価しました。
表彰式では、第25回を記念して、受賞作品を10年以上にも渡り販売、および継続的に本コンテストに応募されている歴代入賞者、そして本コンテストの審査員に長きに渡りご尽力いただきました審査員の表彰も行われました。歴代入賞者を代表して、18年間にわたり受賞作品の販売を続けている株式会社東京ポンバドウル 取締役事業部長 近藤一幸氏は「日本では、レーズンを使ったパンはなくてはならない商品になっています。弊社でもレーズン使用のパンは、常にベスト5に入る人気商品です。そのような人気の高い材料の一つであるレーズンを使った新製品コンテストで、私は19年前に大賞を受賞しました。その当時の私も、受賞した仲間も、そして現在のコンテストでも、多くの若いベーカーたちが挑戦しています。そうした人達が、これから日本のベーカリー業界の発展や食文化の創造に寄与していくだろうと期待しています」と挨拶を述べました。
最後に、カリフォルニア・レーズン協会、およびアメリカ乳製品輸出協会 駐日代表のジェフリー・マクニールが「関係者の皆様の25年間のサポートに、深く感謝申し上げます。毎回、参加者からは素晴らしいアイデアや創造力をいただいています。受賞者の皆様は、それを他の方々と共有していただき、作品の末永い販売を期待しています」と挨拶いたしました。
入賞者全員と審査員
受賞作品を10年以上販売、および本コンテストに継続応募した歴代入賞者と
長きに渡りご尽力いただいた審査員
入賞作品
(※所属企業・団体名の敬称略)
【ホールセール・コンビニエンス製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞
吉田 須麻(よしだ すま)氏(フジパングループ本社株式会社)
作品名:ぎゅっとレーズン
シンプルな見た目ですが、中は溢れ出さんばかりのレーズンがぎゅっと詰まっています。レーズンの酸味と甘みを濃厚に楽しめる、レーズン好きな人のためのレーズンパンです。今回は、全てDOVレーズンを使用しました。
【受賞者のコメント】
このコンテストには過去に3回応募、最終審査に残ったのは今回が2回目です。
作品は名前のとおり、たくさんのレーズンをパンの中にぎゅっと詰め込みました。レーズンの濃厚な味わいが特長です。レーズンの配合をただ 増やせば良いという訳ではなく、レーズンを一番美味しく味わってもらえる配合に苦心しました。
どのような小麦と合うのか、どのような風味の マーガリンと合うのかを考え、生地とフィリングの調和がとれるよう試行錯誤しました。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞 / 消費者推薦賞(ダブル受賞)
柳川 玖哉(やながわ ひさや)氏(株式会社ドンク)
作品名:毎日健康レーズングラノーラ
近年、美容・健康食材としてブームになっているアマニと、アマニ油を使ったグラノーラをレーズンと合わせました。砂糖の代わりに地元愛知県三河産の純米本みりんを、バターの代わりに三重県四日市産の太白ごま油を使用しました。また油脂代替品として、レーズンペーストを使用することで、しっとりとしたもちもち感を長時間保つことができました。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
堀里 栄(ほりさと さかえ)氏(敷島製パン株式会社)
作品名:レーズンの贈りもの
カリフォルニア・レーズンをチョコレート、クルミ、フルーツと合わせ、イーストを使用したソフトなスコーン製品に仕上げました。生地には、ラム酒と水飴で漬け込んだレーズンを練り込みました。低甘味でキレの良い ハローデックスを水飴として使用することで、レーズンの酸味と風味を損なわずに、ジューシー感を保持することができました。また、生地で包んだクリームには、3種類の洋酒とスパイスで漬け込んだレーズンと他の ドライフルーツを使用し、フルーティなチョコレートクリームに仕上げました。
【フレッシュ/インストア/リテール製品部門】
◆ カリフォルニア・レーズン大賞
東 莉穂(ひがし りほ)氏(株式会社ポンパドウル アソシエ)
作品名:ピーナッツ&レーズン
翌日でもしっとりと食べられるように中種法で作りました。アメリカでは子供を始めとして人気の高いピーナッツバターサンドをヒントにして、シンプルな味で飽きのこない家庭的なパンを目指しました。カリフォルニア・レーズンの甘さとピーナッツバターの風味が、絶妙な味のコンビネーションとなり、しっとりとした生地にサクサクのペストリー生地を巻き、食感も楽しんでもらえる作品にしました。さらにレーズンをトッピングすることで甘さとアクセントをプラスし、朝食やおやつに切り分けて楽しんで食べてもらえるパンです。
【受賞者のコメント】
入社4年目で、そろそろ自分の技術も上がってきたので、今回このコンテストに初めて挑戦しました。初めての応募でいきなり大賞を受賞し、自分でも驚いています。自分自身ピーナッツバターが好きで、ピーナッツバターサンドをイメージして、レーズンとピーナッツを巻き込んだ作品を作りました。パンの形や巻き方、トッピングに苦心しました。
◆ カリフォルニア・レーズン金賞
吉田 賢治(よしだ けんじ)氏(株式会社ポンパドウル アソシエ)
作品名:レザン・ブール・エピス
シナモンなどのスパイスが効いたしっとり多加水の生地に、ジューシーなカリフォルニア・レーズンをたっぷりと練り込みました。発酵バターを折り込んだフィユタージュ生地を巻き込むことで、中はじわっと、外はさっくりとした食感に仕上げました。
◆ カリフォルニア・レーズン特別賞
岸 博之(きし ひろゆき)氏(フジパンストアー株式会社)
作品名:トロピカル レーズン
ココナッツリキュールに漬け込んだカリフォルニア・レーズンとトロピカルフルーツのグァバやパッションフルーツ、バナナを合わせ、南国の香りとレーズンの甘酸っぱさとの相乗効果を持たせています。
田村 春子(たむら はるこ)氏(株式会社ドンク)
作品名:フロマージュ・レザン・オ・テ
アフタヌーンティーをイメージして、紅茶の風味にレーズン特有の酸味とクルミの香ばしさを、クリームチーズとフランジパーヌのまろやかな味わいでまとめました。フワッとしたブリオッシュにザクッとしたシュトロイゼルをアクセントに加え、歯切れ良くいろいろな食感を楽しめる一品に仕上げました。
◆ 消費者推薦賞
生井 由香里(なまい ゆかり)氏(K・YOKOYAMA株式会社)
作品名:ジュエリーレーズン
キューブ型で宝石箱のように美しいデザインをイメージした、レーズンペストリーです。カリフォルニア・レーズンをパン生地、クリームチーズフィリング、デコレーションの3箇所に使用し、レーズンの魅力を最大限に活用しました。
【アメリカ産チーズ部門】
◆ アメリカンチーズ大賞
荻野 順平(おぎの じゅんぺい)氏(株式会社志津屋)
ひと口食べた瞬間にレーズンの瑞々しさと甘さ、ほのかな山椒の香りが広がり、噛んでいると徐々にコルビージャックの塩味と旨みが感じられ、レーズンの甘みを引き立てます。また、食べた後は、山椒のピリッとした 余韻が少し口の中に残ります。レーズンは赤ワインと山椒で煮て、瑞々しさを残すためにアガーで固めました。コルビージャックチーズで塩味と旨みを加え、味をまとめ、次々と食べてしまうような、癖になる味わいを作りました。リュステック生地の素朴な味わいは、レーズン、チーズ、山椒の味の繋がりを邪魔することなく、けれどもしっかりと包み込み、一つのパンとして完成しました。
【受賞者のコメント】
このコンテストには過去に6、7回応募しましたが、今回が初めての最終審査進出でした。大賞を受賞することができ、とてもうれしく思います。現在指導をしてもらっている職場の上司(小林 健吾氏)も、過去に大賞を受賞しており、上司に続き大賞を受賞でき、日頃の恩返しができたと思っています。
作品の特長である山椒は、最近は菓子等にもかなり使用されるようになりましたが、パンにはまだほとんど使用されていません。そこで、山椒を使い、和と洋の素材融合に挑戦してみました。山椒を入れるとレーズンの味も引き立ち、良い相乗効果が生まれました。
◆ アメリカンチーズ金賞 / 消費者推薦賞(ダブル受賞)
田村 優大(たむら ゆうだい)氏(K・YOKOYAMA株式会社)
作品名:Wアメリカンチーズ & レーズン エスカルゴバター添え
食べごたえがあり、贅沢なパンを目指して、米粉を配合したもっちりとしたフランスパン生地に白ワイン漬け レーズンを合わせ、2種類のアメリカ産チーズを使用ました。また、パンに使用することの少ないエスカルゴバターを仕上げに使うことで、より贅沢なパンに作り上げました。
◆ アメリカンチーズ特別賞
堀田 圭介(ほった けいすけ)氏(株式会社広島アンデルセン)
作品名:パーネ・フォルマ・エッセ ~レーズンとチーズのイタリアンな賑わい~
全粒粉入りのコクのあるパン生地に白ワイン漬けレーズン、ペッパージャックチーズ、松の実を練り込み、セミドライトマト、ハーブ、モントレージャックチーズを巻き込み、S字のパンに仕上げました。 アメリカンチーズとトマトの旨味、レーズンの爽やかな甘味が抜群の相性で互いを引き立てています。
入賞作品は、今後順次、店頭に並ぶ予定です。
発売情報は、決定次第ご報告いたします。
カリフォルニア・レーズン協会では、今後もコンテストやセミナーを通して、カリフォルニア・レーズンの使い方、新製品開発のアイデアなどを積極的に提供して参ります。これまでの各コンテストやセミナーで紹介したレシピ等は、協会のホームページに掲載しています。