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レーズンが糖尿病や心疾患を予防
レーズンは食物繊維やカリウムのほか、抗酸化物質をはじめとする数多くの植物性化学物質(ファイトケミカル)を豊富に含んでおり、健康増進に望ましい食品として推奨されています。これまでの数多くのレーズンの健康に関する研究において、レーズンの習慣的摂取により糖尿病や心血管系疾患に対するリスクが軽減されることが示唆されました。
研究名:
「レーズンの摂取:血糖と血中インスリン及び心血管危険因子に及ぼす効果」
Raisins Consumption by Humans: Effects on Glycemia and Insulinemia and Cardiovascular Risk Factors
研究者:
James W. Anderson (University of Kentucky)
Ashley R. Waters (Eastern Illinois University)
出典:
アメリカの食品科学専門誌 「Journal of Food Science Vol. 78 Supp. 1」(2013年6月)
レーズンは低~中GI(グリセミックインデックス)、低インスリン指数の食物
糖尿病を予防する食事療法の1つに、GI(グリセミックインデックス)の高い食物から、高繊維でGIの低い食物へ切り替える方法があります。レーズンには可溶性・不溶性の食物繊維や、ブドウを乾燥する工程で生成されるイヌリンなどの食物繊維が豊富に含まれています。レーズンの有効性について、異なるグループ(健常者、糖尿病予備軍、運動者、妊婦)を対象とした研究では、レーズンのGI値は低~中程度の範囲で、インスリン指数も低いことから、日常的に摂取することで糖尿病の予防食として有効であることが示唆されました。また、同カロリーの対照食と比較した数多くの研究において、レーズンは食後の血糖値、インスリン値の低下を示す効果が認められています。例えば、糖尿病のリスクの高い被験者に対し、12週間にわたり、1日3回、レーズン(約30g)または同カロリーのスナック(クラッカー、クッキー)を摂取させた実験では、食後の血糖値が、スナックで6.3%増加したのに対し、レーズンでは9.8%の減少となりました。
レーズン摂取後の血圧低下
レーズンにはカリウム、食物繊維に加えて植物性化学物質(ファイトケミカル)が豊富に含まれることから、継続的な摂取により、血圧を有意に低下させる効果が期待されます。
被験者に6週間にわたり、1日1カップのレーズンの摂取あるいは歩行量を増加させて比較した研究では、レーズンの摂取により歩行量の増加と同様の収縮期血圧(最高血圧)の低下が認められました。また、レーズンまたは同カロリーのスナックを12週間摂取して比較した実験では、レーズンは収縮期血圧を-4.8%~-7.2%(-6.0~-10.2mmHg)低下させましたが、スナックはこのような効果を示しませんでした。
これらレーズンの摂取により認められた血圧の低下は、心血管疾患のリスクを減少させる可能性があります。例えば、収縮期に血圧が5~6%低下すると、冠動脈性心疾患の推定リスクは10~12%低下します。
体重や肥満に与えるレーズンの影響
糖尿病患者の多くは、肥満や運動不足などが大きな原因といわれる2型糖尿病であるため、この疾患の予防には、体重管理がかかせません。
レーズンが含む食物繊維は、食欲に作用するさまざまな消化管ホルモンの分泌に影響を及ぼし、満腹感を高め、食欲を減少させる効果があることが分かっています。また、レーズンに含まれる可溶性食物繊維が有する胃内容物の排出を遅らせる作用も、満腹感の継続に寄与しています。レーズンと同カロリーのスナック(チップスやクッキー)を子供に与えた調査では、レーズンを摂取した子供は満腹感が長続きし、約8時間の観察期間中に食物の摂取量が減少しました。
これらのことから、レーズンの摂取が体重減少や体重管理に有益であり、糖尿病の予防にもつながると考えられます。
レーズン摂取と心血管リスクの低下
日本でがんに次いで死亡率の高い冠動脈性心疾患は、主に動脈硬化などの血管の異常によって起こります。この病気の要因となるのが、糖尿病、高血圧、脂質異常(悪玉コレステロールの増加)、肥満などです。
前述のように、レーズンの摂取は血糖値や血圧を低下させますが、それと同時に悪玉コレステロール、中性脂肪などを低下させる効果も有し、冠動脈性心疾患の予防が期待できます。
被験者が6週間にわたり、1日1カップのレーズンを摂取、または歩行量を増加させた実験では、レーズンの摂取によって歩行量の増加と同様に悪玉コレステロールや中性脂肪が低下し、さらに善玉コレステロールには変化がありませんでした。